夢のシネマパラダイス298番シアター:四月物語
出演:松たか子、田辺誠一、加藤和彦、藤井かおり、光石研、江口洋介
監督・脚本:岩井俊二
(1998年・ロックウェルアイズ・67分)初見1998/03/20・シネ・アミューズ
評価★★★★/80点
内容:4月、北海道から東京の大学に進学した卯月。ただ単純に憧れだった山崎先輩と同じ大学に通いたいというだけの理由で上京した卯月は武蔵野で一人暮らしを始めた。同級生のさえ子やアパートの隣人の照子など個性的な友人たちとの交流の中で、卯月は東京での生活にも馴染んでいく。そして愛の奇跡を信じながら山崎先輩がアルバイトをする書店に通い続けるのだった。そんなある日、ついに山崎先輩は卯月のことを思い出す・・・。一人暮らしを始めた女子大生の日常をフィルム・エッセイ風に綴った青春物語。
“これはノスタルジーでもなければメルヘンでもない。”
リアルな物語。
4月のとある心象風景を柔らかく描き出したにしてもこれは実にリアルだ。
高校を卒業して田舎の盛岡から杜の都仙台の大学へ進学したオイラにとってはホントにリアルな空気感なのです。
春の陽光に包まれ、暖かくて甘酸っぱくて、桜の花びらの色みたいにポッと恥ずかしくて・・・。心の中はまるで虹がかかっているかのように夢であふれている。
しかしこの空気感は、5月になるときれいさっぱり吹き飛んじゃうわけです。
ほのかな桜色はすっかり新緑へと変容をとげ、自分の心の中もすっきりと青空のごとく澄み渡る。
もはやそこに甘酸っぱい空気はない。新天地での一人暮らし、学生生活に完全に慣れてしまった自分がいる。
4月にしかない、新天地での4月でなければ味わえない独特な空気感。それをこの映画は巧く描き出してくれました。オイラもこれと同じような空気を吸っていたんだよなぁと。
大学4年間自分の足となってフル稼働したチャリンコが出てくるのもなんか嬉しかった。
やっぱチャリンコでしょ。バイクじゃダメなんです。あの空気感は時速60kmじゃ味わえないのです。
それくらいほのかで微かな香り。しかし確実に自分の心、胸の中いっぱいに拡がっていく香り。
まぁあんなサービス悪い引っ越し屋さんには出会ったことないけどね。
ところで、大学に合格したのは愛の奇跡と呼びたい、というラストのセリフ。
あまりにも甘ったるくてイタイしカユイんだけど、ああいう理由で大学行ったヤツ何人も知ってます・・・。
ま、4月にはあんなセリフも言えちゃうし、そして許せてしまうんだよね。
5月になって言ってたらただのアホだけどさ。
(初記)1998/03/22


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