夢のシネマパラダイス278番シアター:アウトサイダー
出演:C・トーマス・ハウエル、ラルフ・マテオ、マット・ディロン、ダイアン・レイン、パトリック・スウェイジ、ロブ・ロウ、エミリオ・エステヴェス、トム・クルーズ
監督:フランシス・フォード・コッポラ
(1983年・アメリカ・92分)Video
評価★★★★/80点
内容:オクラホマ州タルサ。貧民街の少年たちと上流階級の少年たちは、それぞれ“グリース”、“ソッシュ”と呼ばれるグループに別れ、反目し合っている。グリースの1人、ポニーボーイは、文学好きの優しい少年だが、ソッシュの女のコと恋仲になったことをきっかけにソッシュに襲われてしまう。そして彼の兄貴分ジョニーがソッシュのメンバーをナイフで刺し殺してしまう・・・。後にブラット・パックとして人気を博すことになるヤング・アダルトスターたちが大挙出演した青春映画の佳作。監督のコッポラは良い演技を引き出すため、ロケ期間中、ソッシュのメンバー役たちは一流ホテルで優雅に過ごさせ、グリースの俳優たちは三流ホテルで過ごさせたという逸話も。
“ジェームズ・ディーンがひょこっと画面に現れてくるようなそんな気がした。”
原作者が女性であることから、もともとノスタルジックな素地は強かったのだが、4、50’sを多分に意識したと思われる映画づくりの手法(特に音楽や映像面で)が、より感傷度を高めている。
特に夕日に染まるポニーボーイとジョニーのシルエットが映し出されるシーンは出色。まさに“風とともに去りぬ”状態(笑)。
また、臆面もなくジェームズ・ディーンの映画をパクっているあたりは一目瞭然なのだが、それら古典映画の要素をいわば永遠不変の変わらないもの(若者たちの言い知れぬ不安や苛立ち、そして変わらぬ夕日・・・etc..)として下敷きとし、その上で当時の80年代の同時代性(主人公の両親がいないというのはその典型)を上乗せして描いていくというのは、さすがとしかいいようがない。
80年代の映画なのに妙に懐かしくもあり哀しくもある不思議な感覚にとらわれてしまうことができる映画だ。もちろんいい意味で。
CMでも使われているスティービー・ワンダーの曲にもなにかそんな甘酸っぱい雰囲気というか感覚があると聴いてていつも思うんだけどね。
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(おまけ)
ワン・フロム・ザ・ハート(1982年・アメリカ・100分)NHK-BS
監督・脚本:フランシス・フォード・コッポラ
出演:フレデリック・フォレスト、テリー・ガー、ナスターシャ・キンスキー
内容:巨額の製作費によるオール・セット撮影で作られたミュージカル仕立ての青春映画。アメリカ独立記念日の前夜、自動車修理工場に勤めるハンクと旅行エージェンシー勤務のフラニーは、同棲5年目の記念日を迎えようとしているが、このところ2人の心の距離は離れていくばかり。そして、家を飛び出したフラニーはピアノ弾きのレイに声をかけられ、一方、ハンクはサーカスの娘リーラに惹かれていく・・・。
評価★★/40点
“この映画の教訓を身をもって知ったからこそ「アウトサイダー」が生まれたのだと思えば、この映画を観る意義もある・・・かなぁと勝手なこじつけをして不満をなんとか解消しようとするオイラ・・・。”
こうと決めたらもう意地でもやり通す人なんだろうなコッポラって。
「地獄の黙示録」はオール海外長期ロケ。この「ワン・フロム・ザ・ハート」が全編セット撮影で、結局会社ガタッッ。
これじゃダメなんだと身をもって体感したコッポラは何を思ったか今度はオール国内ロケで映画を撮ることに。
それが僕の好きな「アウトサイダー」なのだった。
そっかあ、「ワン・フロム・ザ・ハート」の教訓があったからこそ、「アウトサイダー」が生まれたのね、と思えばこの映画にも意義はあったか。
にしても、オール○○ロケってのは危険なギャンブルなんだね。ウン。
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