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2007年4月26日 (木)

夢のシネマパラダイス213番シアター:13デイズ

13dr1cp1 出演:ケビン・コスナー、ブルース・グリーンウッド、スティーブン・カルプ、ディラン・ベイカー

監督:ロジャー・ドナルドソン

(2000年・アメリカ・145分)初見2000/12/20・盛岡フォーラム

評価★★★☆/73点

内容:1962年10月16日。ソ連によるキューバへの核兵器配備が発覚し、大国アメリカが恐怖に震えた13日間=キューバ危機をシリアスに描いた作品。ミサイルが実戦配備される前に空爆を行うべしと主張するマクナマラ国防長官派と、第3次世界大戦に直結する空爆は避けたいと考えるJFK大統領派の緊迫のせめぎ合い。。。あまりにも衝撃的な内容からアメリカ国防省が協力を拒否し、米本国で論議を呼んだ作品でもある。

“まさかこの歴史的事件から1年後、自分が暗殺されるなんて知るよしもないよな。。”

同じく6年後、兄貴と同様に自分も暗殺されてしまうなんて思いもよらなかっただろうな。

ま、余談はさておき映画について。

まず、キューバ危機という歴史的事件について、JFKの補佐官であるケビン・コスナーの視点から見た水面下の実態がスピーディかつ分かりやすく描かれており、キューバ危機の経過に分かりやすく触れられるとともに、一級のエンターテイメントとしても成立しているという点は評価できると思う。

ケネディの知らないところでアメリカが水爆実験を行ってしまったり、命令していないのに核武装した米軍が軍事演習を始めたり、ミサイルテストをケネディに知らせずに行ったりといったタカ派連中の本気汁漏れという現実的な怖さや抵抗勢力との闘いなどもこの映画にはあり、緊迫した13日間を2時間弱に収めるのはちょっと酷な気もする中でよくまとめたなぁという印象を持った。

しかし、この映画がキューバ危機の13日間に限定したエンタメ作品であると断っておいた上でやはり指摘しておかなければならないことは、この13日間だけを取り上げてみても事の本質には何ら迫れないということだ。

物事には前後があることを忘れてはならないわけで、ラストで誰かがこれは歴史に残る外交の勝利だと言っていたが、はたして本当にそうなのか。。

そもそもなぜキューバ危機なるものが起こったのかにしたって、ソ連がキューバにミサイルを設置したからとひとくくりにして言うことはできないのは自明の理なわけで。

キューバ革命後、アメリカが一貫して取り組んだキューバに対する破壊活動の異常さ、それに対してキューバ側が自衛策を取り、そのひとつとしてソ連のミサイルを受け入れることはこれまた自明の理としか言いようがないであろう。

また、キューバ危機を切り抜けた当事者であるマクナマラ国防長官らは、このキューバ危機で得たであろうはずだった教訓を何ら生かさずにわずか数年後にはベトナム戦争の泥沼にはまっていくのだ。

そういう前後関係がこの映画には皆無といってよく、この13日間だけを孤高のように取り上げて見せられても何か錯誤的な違和感を覚えずにはいられなかった。

歴史的事件をエンターテイメントとして描くことの功罪がこの映画にもやはりあると言わざるを得ないであろう。

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