欧蹴球狂想曲第18番:ミシェル・プラティニUEFA新会長に。。
サッカーのUEFA(欧州連盟)会長選挙が、ドイツのデュッセルドルフで行われ、元フランス代表の“将軍”ミシェル・プラティニが、現会長レナート・ヨハンソンを27-23で破って当選した。
プラティニといえばフランス代表やイタリア・ユベントスで輝かしい実績と記憶に残るスーパープレーをサッカー史に残した80年代の燦然と輝く代名詞的存在の選手ですが、UEFAは実際FIFAを超えるほどの力を有するだけに、将軍が文字通り頂点に登り詰めたといったところか。
しかし、欧州列強(特に欧州3強といわれるスペイン・イングランド・イタリア)にとっては、プラティニ新会長は恐怖の大王が空から降ってきた!と言わんばかりに戦々恐々としているに違いない。
それは、プラティニが会長選で掲げていた公約で、現在UEFAチャンピオンズリーグ(CL)に参加できる枠がスペイン(リーガエスパニョ-ラ)・イングランド(プレミアリーグ)・イタリア(セリエA)には各4枠ずつ与えられているのを、各3枠ずつに減らし、その分を他の小国リーグに分け与えるというもので、ビッグクラブとスモールクラブ、持てる者と持たざる者の格差があまりにも開いてしまったことを是正するための策だという。
現在CLは世界で最も注目されている大会であり、ヨーロッパでプレーするサッカー選手ならば誰もが1度はその舞台に立ってみたいほどの大会と言われるまでに規模が拡大し成長を遂げてきた大会である。
例えば今シーズン見事に決勝T進出を果たしたセルティックの中村俊輔は、昨シーズンオフにスペイン・セビージャからオファーを受けていたものの、セルティックがCL本選(32チームを4チームずつ8グループに分けて行われる)に無条件で出られる(スコットランドのCL出場枠は2。そのうち国内リーグ優勝チームが無条件で本選出場。2位チームが本選に出場するための予備予選から出場。セルティックは昨季05-06シーズンに優勝したため、今季06-07シーズンのCLに予選なしで本選から出場できた)ことから、憧れだったスペイン行きか、それとももう一つの夢であったCLという舞台のピッチに立つことかと悩んだ末、今季はセルティックを選んだ、、、それくらいCLという舞台は魅力的な舞台なのである。(ちなみにセビージャは昨季国内リーグで5位に終わった。4位以内に入らないとCLに出られないスペインの場合は、5位になるとUEFAカップに回ることになる)
また最近では三都主がオーストリアのザルツブルグに移籍したが、「絶対にCLに出る!」と意気込んでいるようだ。
選手にとってもCLは夢の舞台だが、それはクラブにとっても同様だ。
なぜならCLに出ることで、クラブの知名度とブランド力がアップすることはもちろん、莫大な放映権料や勝利給、出場給、試合給といった賞金などなど、CLに出場するだけで莫大な富がクラブに降りてくるわけで、欧州の並み居るビッグクラブはCLに出ることを前提として補強予算などの年間予算を組んでいるからだ。例えば、優勝すれば賞金だけで約25億円、放映権料や入場料収入なども含めると100億円は下らない総収入になるといわれる。。
よって、もしCLに出られないとなると、大幅にチームづくりを軌道修正しなければならなかったり、思うような補強ができなかったりといった弊害、そして何よりCLに出られないことによる選手たちのモチベーション低下などクラブに与えるマイナス影響は計り知れない。
しかし、もともとCLというのは、各国リーグの優勝チームのみが集う純粋なトーナメント方式の大会で、1956年から1980年代を通してその形式は変わらなかった。名称もチャンピオンズ・カップだったし。
それが現在のように参加チーム数が増え、大会形式もリーグ戦を取り入れる形に変容したのは1990年代に入ってからである。
1993-94シーズンに大会名称がチャンピオンズリーグに改称。ちなみにこの時の本選は32チームが1回戦でホーム&アウェイのトーナメント方式で戦い、2回戦も同じくトーナメント方式。勝ち上がった8強が4チームずつ2グループに分かれて総当りリーグ戦方式で上位2チームずつが準決勝へ進む。準決勝はまたトーナメント方式にもどり、決勝1発勝負、というやり方だった。
しかし、翌1994-95シーズンには本選出場チームが16チームになり、本選は4チームずつ4グループに分けるというリーグ戦方式、上位2チームずつが勝ち残り、その後はトーナメント方式という形になった。この形式が1996-97シーズンまで進む。
そして1997-98シーズンに本選出場チームが24チームに増加し、1999-2000シーズンには32チームへと現在のように拡大。また1次リーグ、2次リーグとリーグ戦方式でやり、準々決勝からトーナメント方式となった。しかし、それにより試合数が激増したため、選手への負担をなくすために(といわれている)、2003-04シーズンから2次リーグが廃止され、現在のような形(本選出場32チームが4チームずつ8グループに分かれてリーグ戦方式で戦い、各グループ上位2チームずつがベスト16進出。その後はトーナメント方式で戦っていく)になった。
このように規模を拡大していく中で、CL出場権枠も拡大していったわけで、国内リーグで優勝しなかったチームがCLで優勝するということは今では常識になってしまった。昨シーズンバルセロナがスペインリーグ優勝&CL優勝という2冠を達成したが、これは非常に稀なケースである。
では、このCL出場権枠がどうやって決められるかというと、UEFAが定める国別ランキングというもので決められていて、このランキングは今から遡って過去5年間のCLやUEFAカップなどの欧州カップ戦での各国出場チームの成績をもとに換算したもの。
現在UEFAランキング1位はスペイン、2位イタリア、3位イングランドで、ここまでが4枠(正確には国内リーグ2位までが無条件で本選から、3位と4位チームは予選3回戦から)与えられて、ランキング4位フランス、5位ドイツ、6位ポルトガルまでが3枠(上位2位までが本選から、3位チームが予選3回戦から)。
ランキング7位~9位までが2枠(国内リーグ優勝チームが本選、2位が予選3回戦から)、ランキング10位~15位は2枠だが、しかし国内リーグ優勝チームは予選3回戦から、2位チームは予選2回戦からとなる。。以下16位~25位までが1枠(国内リーグ優勝チームのみ)で予選2回戦から、26位~52位だったかなまでが同じく1枠だけど予選1回戦から・・・・というようにUEFAランキングが下ることに出場枠は少なくなっていく。
ここにメスを入れるというのが、プラティニ新会長の恐るべき公約なのである。。
しかし、この公約にファーガソンやベンゲルなどプレミア勢の監督たちが早速噛み付いたように、欧州強豪国にとっては由々しき問題である。観る側のオイラにとっても(笑)。
だって、3枠に減らされたら、例えばプレミアでいえばプレミア4強のマンU、アーセナル、リバプール、チェルシーのうち1チームが出られないってことだし、イタリアだってインテル、ミラン、ローマ、ユーべ(今季は無理だが)とあるし、我が愛しのレアル・マドリーが居るスペインだってバルサ、バレンシア、セビージャ、アトレティコ、デポルetc.大変だよこりゃ。
3つに減らされるというのは国内リーグで3位以内に入らなきゃならないわけだからさあ。
でもホント強豪国の反発はハンパないと思うぞ(笑)。
オイラも今のところは反対!
というかやるなら徹底的にやらないと、中途半端だと意味ないと思うし。
1番の問題は選手が強豪国に集中していることだと思うけど。
それに関しては、つづく欧蹴球狂想曲第19番で。。
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