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2006年11月19日 (日)

やっとで日の目をみたTVドラマ「東京タワー」byリリー・フランキー

本当だったら今年の7月29日に放映されるはずだった2006年度本屋大賞受賞作、リリー・フランキー原作「東京タワーオカンとボクと、時々、オトン」のテレビドラマ化。

しかし、主人公“ボク”こと雅也の幼なじみバカボン役で出演予定だった極楽とんぼの山本圭壱の不祥事により、放送無期限延期となってしまっていた。

一時はお蔵入りか!?とも噂されていたが、バカボン役を映画「間宮兄弟」で新境地を拓いたドランクドラゴンの塚地武雄を代役に立てて一部再撮影してようやっと昨日の放映に至った。

原作を読んで大泣きしたオイラにとってはホッと胸を撫で下ろした次第。

で、見ました。

ええっとね、、、単刀直入に言うと、ギリで65点、、、かなぁ。。

まず原作が3,4歳から30代後半(38歳かな?)までを描いているが、今回のテレビドラマは少年時代のボク(神木隆之介)と30歳以降のボク(大泉洋)と完全に分けていて、原作でいえば中学時代はほんのお触り程度しか描かれず、別府の美術高校時代、東京に出てきた大学時代は完全に端折られている始末。

まあ2時間弱に収めるには何を生かして何を捨てるかという取捨選択が必要になってくるのは当たり前なんだけどさ。

ただ、今回の場合の手法で重要になってくるのは、少年時代の筑豊での描写だと思うのだけど、ここがちょっとインパクトに欠けるというか。

例えばNHK朝の連続テレビ小説で歴史に残るドラマとなった「おしん」といえば、小林綾子が演じた艱難辛苦の少女時代をすぐに思い浮かべると思うが、実はおしんの少女時代のパートは全297話中36話までで、後のほとんどは今回オカンを演じた田中裕子がおしん役なのだ。

しかし、「おしん」が名作たり得たのは、少女時代の描写が素晴らしかったことにあることに異論はあるまい。

それと同様なことが今回のテレビドラマにも言えると思う。

「東京タワー」の原作はたしかに少年時代の描写は青年時代のそれより紙数は少ない。

しかし、少年時代の描写にはオカンと一緒に暮らし生活していた時の絆や思い出の密度の濃さ、時代のにおい、筑豊のにおい、オトンの無茶っぷりなどが凝縮され詰め込まれていて、読み終わった時に少年時代からの連綿とした母子の絆をしっかりとひとつの流れの中で感じることができたわけで。

この本が心の奥深くに響いてくるのは、やはり少年時代の描写がかなり強烈に響いてくるからだと思う。

なのに、今回のテレビドラマはまるで昭和ノスタルジー1本槍で攻めまくった「ALWAYS三丁目の夕日」ばりのノスタルジー色で筑豊時代を描いてしまった。。

もちろん今回のテレビドラマが青年になっているボク(大泉洋)の回想という形で話が進められているという要素はあるにしても、リリー・フランキーの「東京タワー」と「ALWAYS三丁目の夕日」は完全に性格を異にするものであり、ここをノスタルジーで描くのは1番手っ取り早いとはいえ、1番やってはいけないことだと思う。

そこにオイラは物凄く違和感を感じてしまった。と思っているうちに青年時代へ一気に飛んじゃったから・・・。

やはり今回のテレビドラマは肝心要の少年時代、筑豊での描写が致命的に薄くて弱かったのではないかと思う。青年時代からのパートはかなり良かっただけに、見ていて惜しいなあ、と思いつつやっぱ泣いちゃったけどね(笑)。

あとは、なんだろ、原作でひとつのキーポイントとなっていた「生みの親より、育ての親って言うけんねぇ・・・・」が出て来なかったし、あとは何といってもオカンと約束していた一緒に東京タワーに昇るくだりだな。

原作では、オカンが亡くなった後に、ボクがオカンの位牌を抱えて東京タワーに一緒に昇って、オカンを想うというラストに繋がっていくのだけど、今回のドラマは恋人(広末涼子)に会いに行くという設定に完全に変わってるのね。。。

しかも、「オカンはオカン」「お前はお前だ」ということで心の中で区切りと踏ん切りをつけ、未来を見据えて新たな人生を歩いていくという形で終わってて、原作がどこまでもオカンオカンオカン・・・という余韻を残したまま終わったのと比べると、、、微っ妙だなぁ、、と。

まあ、ちょっと厳しい見方になっちゃったけど、でも感動は出来たからな。

あとは来年4月だっけ?の映画の方に期待ということで。

映画ではオカンが樹木希林、オトンが小林薫ということですが、二人ともチョイ役で出てましたな(笑)。ちなみにボク役はオダギリジョーだそうです。

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