夢のシネマパラダイス69番シアター:ザ・ハリケーン
出演:デンゼル・ワシントン、ビセレス・レオン・シャノン、ジョン・ハンナ
監督:ノーマン・ジュイソン
(1999年・アメリカ・145分)初見2000/07/07・ミラノ座
評価★★★★☆/87点
内容:冤罪で終身刑となったボクサー、ルービン・“ハリケーン”・カーターの実話をもとに描かれた作品。最強のボクサーとして君臨したカーターだったが、黒人差別の刑事の謀略によって、殺人の罪を着せられてしまう。獄中のカーターは無実を証明するため、孤独な戦いを決意するが・・・。
“ルービン・カーターの50年にわたる苦闘をまさにハリケーンのごときテンポで描ききるこの映画は、最終ラウンドまで懸命に戦い演じきったD.ワシントンの演技力に救われ、そして勝利したといっても過言ではない。”
この映画は実話を基にしているというが、一緒に同乗していた黒人のことも、奥さんとのことも描かれないばかりか、カナダ人3人衆の奇妙ともいえる同居生活も掘り下げて描かれることはない。
カーター以外は妙に浮いた存在になってしまっていることは否めない。
さらに、新事実にたどり着くまでもまるでいとも容易いように描かれている(ように見えてしまう)し、法廷シーンも少ない。
もちろん実際には何年もの追求の蓄積が背景にあることは分かるが、映画の中ではそれがリアリティとして滲み出てこないのだ。相当端折っているなということは薄々感じることができるし、非常に映画的にアレンジされているという印象を受ける。
しかし、これらの映画的虚構からくる印象を一手に引き受け、そしてハリケーンのように吹き飛ばしてしまうのが、ルービン・“ハリケーン”・カーターだ。
彼だけが真にリアルだ。
面会に訪れた彼の弁護人に彼が言う言葉。「俺はもう50歳だ。そして俺は今まで生きていた中で30年も監禁されつづけてきたんだぞ。30年だぞ!、、、、俺をここから出・し・て・く・れっ!」という言葉では表せないような切実な願い。
自分自身そういう状況になったら閉所恐怖症も手伝っておそらく発狂してしまうのではないだろうかと思う。
冷え切った牢獄の鉄扉がガチャリと閉められる瞬間、そして音。
イヤだ!
このどうしようもできない、壁を拳でぶち続け咆哮してしまうような彼の気持ち、感情は真にリアリティといえるんじゃないだろうか。
少なくとも僕はそのように受け止めた。
そしてそれを演じきったD.ワシントンに心から敬意を表したい。


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