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2006年8月 8日 (火)

NHKスペシャル「硫黄島玉砕戦」

今年の秋と冬、2本のハリウッド映画が公開される。監督は両作ともクリント・イーストウッド。

アメリカ側の視点から太平洋戦争の最激戦硫黄島の戦いを描いた「父親たちの星条旗」(主演ライアン・フィリップ)と、日本側から描いた「硫黄島からの手紙」(主演渡辺謙)だ。

硫黄島。

オイラが小4の時、テレビ局が企画した少年少女友情の船ってやつでグアム・サイパンに船で行ったことがあるのだが、その海路の真ん中あたりに硫黄島があって、島を通り過ぎる時に甲板で慰霊祭を行ったことを覚えている。地肌の露出した摺鉢山が印象的だった。

そんな硫黄島。オイラにとって日本軍が玉砕した島という知識しかない島。

そんな中で先日NHKスペシャル「硫黄島玉砕戦~生還者61年目の証言~」を見た。

玉砕。

辞書をひも解くとこうある。“戦いで、名誉・忠節などを守って潔く死ぬこと▲無価値な瓦となって生きるよりは、玉のように美しく砕け散るの意から”

オイラはそれに加えて、当時のいわゆる万歳攻撃で敵に突撃して行って敵もろとも潔く死んで全滅すること、という感覚が自分の中に今まであったように思う。

が、、しかし事は辞書を引いて簡単に理解できるような代物ではなかった。。

体験した本人たちの証言は想像を遥かに超えるものだった。

涙を流しながら、、生き残った者の責任と死んでいった者たちの供養を背に負って、、あの戦闘の悪夢に60年経った今も苛まれながら、、あの戦いで死んでいった者たちにはたして意味があったのだろうか、、無駄死ににだけはしたくない、、、。その言葉。

非常に重い証言だったと思う。

補給系統は完全に寸断され、まさに孤立無援となっていた硫黄島を大本営は“敵の手に渡ることもやむなし”とし、硫黄島は来るべき沖縄、本土決戦に向けてとにかく時間稼ぎをするための捨て石とされたのであった。

そのため、日本軍の専売特許だった万歳攻撃(敵に追い詰められてどうにもならなくなったら突撃して名誉の戦死をすることを目的としたいわゆる自爆攻撃)は封印され、島全体に張り巡らされた地下壕に潜みとにかく自分の持ち場と陣地から離れずに死守せよという命令が下された日本軍守備隊2万。捕虜になることは国辱とされ、敵への投降は絶対厳禁!

かくして地獄の持久戦の幕が切って落とされた。

島の形が変わるほどの猛爆とともに上陸した25万もの米軍は、火炎放射器や爆薬を用いながら地下壕をひとつひとつ潰していく。

結局米軍の死傷者が日本軍のそれを上回ってしまうという、アメリカにとっては他に類を見ない苛酷な戦いとなったわけだが、予想以上に手こずった米軍は壕の入り口からガソリンを混ぜた海水を流し込んで火を付けたり、入り口を爆破して生き埋めにしてしまうということまでした。

壕の中はまさに暗闇と灼熱地獄。

焼けただれた皮膚がベロンと剥けた顔、もがき苦しみながらこめかみに銃を当てて殺してくれとせがむ負傷兵、手榴弾で自決する者、、、、人間が人間でなくなる空間。理性が無に帰る空間。

今のオイラには正直想像すらできない。。

それを体験者の方は、畜生の世界と仰っていて漸く分かったような気がした。それほど酷いのだ。戦争とは。

米軍が制圧した後も壕には数千という日本軍が潜んでいたというが、そこに襲い掛かってきた新たな地獄は飢餓。

投降は絶対にしてはならぬ、という徹底した教育は日本軍同士による惨めな悲劇を生んでいった。

死んでいった者の家族には決して話せないようなことも。。。

そして最も虚を衝かれたのが、、、「炭を食べました。。」という話・・・。

炭って食べれるんですか、という記者の問いに、「何か腹に入れないと、、、2週間飲まず食わずで、、、炭、ガリガリと、、食べれるんですね。。」

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日本の本土を守るために最後の盾となって壮絶な闘志の下で戦い抜いた日本軍兵士達、、、、例えばこんなカッコイイ言葉で形容し称えることは簡単かもしれない。

しかし、壮絶な地獄を体験した方が「彼らの死に果たしてどういう意味を見出すことができるのか・・・難しいですよね・・・。」と苦渋の表情で呟いていたように、勇猛果敢な死は、もしかして無駄死にだったのではという思いもあって当然なんだろうと思う。

いわば日本に見放された中での先の見えない戦い。玉砕が初めから分かっている戦い。

人の命は紙屑同然なのか。。。そういう戦争に身を置かせた国や戦争指導者に対する思いというのは複雑なものがあると思う。

靖国に意気揚々と正装して集団参拝する政治家たちよ!

その前にやるべきことがあるだろ。今も硫黄島の地下に眠る1万以上の遺骨を、地熱で熱くなってる地べたを這いつくばって懸命に戦った彼らの遺骨を、あなたたちが這いつくばって集めることこそまずすべきことだ。

それでこそ本当の供養になるはずだし、世界に誇れる日本となるはずだ。違うか?

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