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2024年12月30日 (月)

うたばん狂想曲第41番:第33回オイラ的日本レコード大賞in2024

CDを初めて買った中学生以来30数年ぶりに年間を通してCDを購入しなかった憂うべき?年になった2024年。。

まずは月間ランキングから~!

1月

 1位  清水翔太     花束のかわりにメロディーを

 2位   EIKO          DREAMER

     緑黄色社会        花になって

 3位  Official髭男dism       SOULSOUP

  松任谷由実、小田和正、財津和夫  今だから

2月

 1位  Novelblight        面影

 2位   のん           荒野に立つ

    yama、キタニタツヤ    憧れのままに

 3位  TOMOO       Grapefruit Moon

     あいみょん          あのね

3月

 1位  TOMOO        Super Ball

 2位  安田レイ          声のカケラ

     バックナンバー       冬と春

 3位  YOASOBI      HEART BEAT

     Mrs.GREEN APPLE    ナハトムジーク

4月

 1位  TOMOO         Present

 2位  Omoinotake      幾億光年

     アンジェラ・アキ    この世界のあちこちに

 3位  Creepy Nuts      二度寝

       milet          Higher

5月

 1位  Novelblight     Awesome Life

 2位    Ado          Value

      米津玄師      さよーならまたいつか

 3位   藤井風         満ちていく

     セカイノオワリ      タイムマシン

6月

 1位   milet         hanataba

 2位 MY FIRST STORY、HYDE  夢幻

      TOMOO        あわいに

 3位   miwa        それでもただ

      Aimer           遥か

7月

 1位  KERENMI         世界

 2位  三浦大知        Pixelated World

    Mrs.GREEN APPLE      Dear

 3位  あいみょん       会いに行くのに

     Mr.Children      記憶の旅人

8月

 1位  TOMOO        ベーコンエピ

 2位   由薫          Sunshade

    GLAY×JAY(ENHYPEN) Whodunit

 3位  NewJeans       Supernatural

    サザンオールスターズ  恋のブギウギナイト

9月

 1位 バックナンバー     新しい恋人たちに

 2位  ヨルシカ         忘れてください

    Official髭男dism      Sharon

 3位  TWICE         I GOT YOU

     三浦大知          心拍音

     小田和正        その先にあるもの

10月

 1位  Da-iCE         I Wonder

 2位  Official髭男dism    B-Side Blues

      藤井風        Feelin’Go(o)d    

 3位   B’z          イルミネーション

     米津玄師          がらくた

   サザンオールスターズ  ジャンヌ・ダルクによろしく

11月

 1位  TOMOO         エンドレス

 2位  ヨルシカ          アポリア

      ヨルシカ          憂、燦々

 3位  Official髭男dism          Same Blue

       eill           革命前夜

      Vaundy          風神

12月

 1位  King Gnu         ねっこ

 2位  Omoinotake       ラストノート

      緑黄色社会        言えない

 3位  I Don't Like Mondays.  Shadow

     アイナ・ジ・エンド      風とくちづけと

✨ベストニューカマー賞✨

 Novelblight

 Da-iCE

 Omoinotake

✨優秀パフォーマンス賞✨

 ヨルシカ

 Official髭男dism

 米津玄師

✨特別賞✨

 GLAY

✨大賞✨

 TOMOO

夢のシネマパラダイス615番シアター:カメラを止めるな!

カメラを止めるな!

Kamerawotomeruna_201808_01出演:濱津隆之、真魚、しゅはまはるみ、長屋和彰、細井学、市原洋、山崎俊太郎

監督・脚本:上田慎一郎

(2018年・日本・96分)東宝シネマズ上野

内容:ゾンビ映画を撮るために山奥の廃墟にやってきた自主映画のクルーたち。リアリティを求める監督のもと撮影が難航する中、本物のゾンビが現れ次々にクルーを襲っていく。それを目の当たりにした監督は嬉々としてカメラを回し続けるが・・・。

評価★★★★/85点

SNSの口コミの拡散による異例のヒットを記録し、社会現象を巻き起こした「君の名は。」と「この世界の片隅に」からわずか2年後。

「ジュラシックワールド」の1秒に相当する製作費で作られ、都内わずか2館で上映されたインディーズ映画の今までの常識を覆す大ヒットは、平成の終わりに訪れた爆インパクト!

映画会社の盛りに盛った予告編やCMに踊らされることなく、観客の熱度という真に信頼できる指標の確立。このSNSの威力が最も発揮されたという点で、同年の「ボヘミアンラプソディー」と合わせて映画ファンにとってはまさに新時代の到来を告げるエポックメイキングな作品になったといえるだろう。

そして、肝心の映画の方もびっくりポンッ!

低予算で大ヒットした映画といえば、ブレアウィッチプロジェクト、パラノーマル・アクティビティ、ナイトオンザリビングデッドなどゾンビ&スプラッターホラー系が主だし、300万という予算規模から文字通り日暮監督のモットーである“早い・安い・質はそこそこレベル”にハードルを下げて見始めたのが正直なところw

で、最初の30分はワンカット長回しという特殊技能を上積みしても、そのハードルを下回る学生の自主制作映画レベルで、所々感じたビミョーな違和感とともにコレって本当に面白いの!?と思いながら見ていた。

しかし、その疑心暗鬼が抱腹絶倒に変わる後半のどんでん返し展開は痛快そのもので、伏線回収の見事さはぐうの音も出ないレベル。

とにかく素人芸を逆手にとった脚本が巧いとしか言いようがないけど、1スジ2ヌケ3ドウサという映画三原則がこれほど当てはまる映画もないだろう。

そういう意味では教科書みたいな映画でもあるのかも。

今作の最大の肝といえるライブ感を次回作でも生かしてくるのか、それとも別なベクトルで攻めてくるのか、映画愛にあふれた上田監督の座組が一発屋で終わらないことを祈るばかり(笑)。

2024年12月15日 (日)

エル・クラシコin東京

まさかこの目で生クラシコを拝める日が来るとはーー!

Img20241215211810しかもイニエスタの引退試合で往年のレジェンドたちが一堂に会して行われるクラシコということで、是が非でも行きたい試合。

チケット発売日に即日完売したんだけど、まさにその当日にネットでたまたま知って、そっこーポチッてゲットできた奇跡!

25年来のマドリディスタとはいえ、シャビとイニエスタが一緒にプレーしてるのを生で見れるなんて最初で最後だろーなー。人生最大の奇跡だわさ✨

まぁ、当初の発表メンバーからの追加メンバーが随時更新されると思ってたら、全く音沙汰なしでどーなってんだとヤキモキしてたら、前日に全メンバー発表があってあらビックリ(゚д゚)!

来るはずのフィーゴがいなーーい!Ω\ζ°)チーン

その他にもここに載ってるのではマスチェラーノとかアドリアーノ、ボージャンが不在。あと、こんな選手トップチームにいたっけていうメンバーもいたりして、、ラウール、グティ、ジダン、、来ねーかーw

ま、フィーゴの代わりにカンナバーロが来たからいーっか。。

Img20241215140138ていうオチはあったものの、快晴の下の味の素スタジアムに行ったら、そんなのお構いなしの臨場感4万5千人!

が、座席はバックスタンドの上層階だったけど、快晴すぎるのも玉にキズ、、午後の西日を真正面にもろに受けてピッチ見えづれーーww

で、試合の方は、ラウールブラボが試合開始早々に負傷交代、さらに出てたかどうか分からなかったwロベルトカルロスも前半15分までにベンチに下がってたみたいで、黄金の左足の殺戮フリーキック見れず・・。

やっぱ50代には厳しいかwカランブーなんかも足に来てたっけなぁ~

でも、レアルのMVPは聖カシージャスで決まりっしょ。ビッグセーブ2、3回あったもんな(^^♪

Img20241215155541そして、バルサの方は、やはりこの2人。

シャビ&イニエスタ!

視野の広さが如実に分かるコンダクターぶりを目前にして、ここにさらにメッシがいたんだからそりゃ最強だよなぁと完全納得w。。

4-3くらいの打ち合いあるいは5-0バルサなんてのも想像してたけど、2-1というお堅い結果に。

OB戦ということもあってバチバチの球際の強さは全然ないユルさはあったけど、エンタメ感を出すようなお遊び演出もなくて、やっぱクラシコはなんだかんだ負けたくないガチ勝負なんだなと妙に納得w

ただ1-1のままPK戦!?て思ってたら、アディショナルタイムにイニエスタのゴール前折り返しをレアルDFがまさかのクリアミスオウンゴールで決着とはね~

Img20241215160313さようなら、そしてありがとうイニエスタ!

引退セレモニー時には、レアル側からイニエスタに白いマドリーの?ユニホームがプレゼントされててビックリしたけど、最後の最後に最強の嫌がらせしちゃいますww!?

将来はシャビと同じく指導者になっていくのかな。なんかシャビよりかは良い結果だすような気がするけど。

ペップ・グアルディオラ2世になれるかも!?

しかし、これでまた一つ新たな夢ができたなー

本場スペインで、あのサンチャゴベルナベウで、レアルの試合見たーい!

Img20241215160832カシージャスとかレアルのメンバーも混じっての記念撮影いいね!

2024年1月 1日 (月)

うたばん狂想曲第40番:第32回オイラ的日本レコード大賞in2023

ジャニーズ帝国崩壊の1年となった2023年。が、月間チャートに1曲も入っていないオイラにはなんら影響なしw。。

さあー月間ランキングいってみよー!

1月

 1位 松任谷由実、荒井由実    Call me back

 2位 DISH//            五明後日

     桑田佳祐             平和の街

 3位 桑田佳祐             なぎさホテル

     藤井風              死ぬのがいいわ

2月

 1位 Vaundy             怪獣の花唄

 2位 Official髭男dism      ホワイトノイズ

     Aimer              Ivy Ivy Ivy

 3位 10-FEET            第ゼロ感

     水曜のカンパネラ         エジソン

3月

 1位 由薫                 星月夜 

 2位 コブクロ              エンベロープ

     ナオト・インティライミ      パッキャマラード     

 3位 ケツメイシ             夜空を翔ける

     PEOPLE1             紫陽花

4月

 1位 Awich               TSUBASA

 2位 菅田将暉             美しい生き物

     三代目J SOUL BROTHERS  この宇宙の片隅で

 3位 幾田りら               蒲公英

     BiSH               Bye-Bye Show

5月

 1位 米津玄師               LADY

 2位 Chilli Beans、Vaundy            rose

     MAN WITH A MISSION&milet   絆ノ奇跡      

 3位 IVE                  ELEVEN

     緑黄色社会            White Rabbit

6月

 1位 Uru                   心得

 2位 Official髭男dism         TATTOO

     ヨルシカ               アルジャーノン

 3位 MAN WITH A MISSION&milet   コイコガレ

     秦基博                 イカロス

7月

 1位 UA                 会いにいこう  

 2位 スピッツ               美しい鰭

     Uru                  紙一重

 3位 BUMP OF CHICKEN    窓の中から

     いきものがかり           STAR

8月

 1位 米津玄師               地球儀

 2位 サザンオールスターズ       盆ギリ恋歌

     SUPER BEAVER         儚くない

 3位 サザンオールスターズ      歌えニッポンの空

     スピッツ               ときめきpart1

9月

 1位 milet               Living My Life

 2位 miwa                 空っぽ

     宇多田ヒカル         Gold~また逢う日まで~

 3位 ちゃんみな              命日

     Ado                 向日葵

10月

 1位 Official髭男dism          日常 

 2位 セカイノオワリ            ROBO

     Official髭男dism        Chessboard

 3位 新しい学校のリーダーズ     オトナブルー

     羊文学              more than words

11月

 1位 藤井風                 花

 2位 Vaundy              トドメの一撃

     サザンオールスターズ      Relay~杜の詩

 3位 B’z                  STARS

     King Gnu            SPECIALZ

12月

 1位 Superfly              Ashes

 2位 Ado                  唱

     幾田りら               With

 3位 桑田佳祐、松任谷由実  Kissin'Christmas 2023

     King Gnu             硝子窓

✨ベストニューカマー賞✨

 Awich

 新しい学校のリーダーズ

 SUPER BEAVER

✨優秀パフォーマンス賞✨

 Vaundy

 桑田佳祐

 米津玄師

✨特別賞✨

 B’z

✨大賞✨

 Official髭男dism

2023年5月12日 (金)

夢のシネマパラダイス502番シアター:南極物語

南極物語

Nankyoku2 出演:高倉健、渡瀬恒彦、萩野目慶子、夏目雅子、岡田英次、山村聰、15匹のカラフト犬

監督・脚本:蔵原惟繕

(1983年・東宝・145分)WOWOW

評価★★★☆/70点

内容:1958年、南極探検隊の第1次越冬隊で犬係を務める潮田と越智は、15匹のカラフト犬を鎖につないで残したまま昭和基地を後にしたが、悪天候で第2次越冬隊員が送り込まれず、犬たちは置き去りとなる。帰国した潮田は犬の飼い主に謝罪して歩くが、犬を見殺しにした彼らに世間の目は冷ややかだった。が、その頃南極では、8頭の犬が首輪からの脱出に成功していた・・・。

“犬好きの聖地、それは小さい頃にこの映画を見たときから南極だと信じ込んでいた・・・”

が、数十年ぶりに見返してみて、実は犬好きにとってのアウシュビッツだったということが分かって愕然とした。

子供のときの記憶って、いいようにすり替えられるんだなぁ(笑)。こんな暗くて重たい淡々とした映画だったっけ・・。

なんか犬がちゃんとしゃべって物語を進めていくマンガ本の方の記憶と混同しちゃってるらしい。

でもオーロラのシーンは子供心にゾッとしたことがありありと甦ってきたけども、そのくらいかなぁ当時の記憶と見事にダブったのは。

とにかくちょっといろいろな意味でショックだったかも。。

ただ、大空撮の多用をはじめとして映像のリアリティと本気度は今見ても凄くて、キャストスタッフそして犬たちの健闘には頭が下がる思いです。

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南極料理人(2009年日本・125分)WOWOW

 監督・脚本:沖田修一

 出演:堺雅人、生瀬勝久、きたろう、高良健吾、豊原功補、西田尚美

 内容:海上保安庁の調理人・西村は第38次南極観測隊の調理師として南極ドームふじ基地に1年以上派遣される。そこで7人の隊員の胃袋を満たすべく奮闘する西村であったが、平均気温-50℃以下という陸の孤島しかも男しかいない過酷な環境の中で隊員たちのフラストレーションは溜まっていく一方なのだった・・・。

評価★★★★/80点

南極基地で越冬隊員たちの食事を朝昼晩毎日作るって、こんな地味ィ~なお話がはたして映画になるのだろうかと思ったんだけど。

しかし、どんなテイストなのか皆目分からずに恐る恐るフタを開けてみたら、これが今まで味わったことのないような摩訶不思議な、しかしすこぶるやみつきになりそうな美味で、幸せな満腹感に浸れることができた。

気温マイナス54℃という、動物はおろかウイルスさえ生存できない真っ白な地に舞い降りたオッサン8人組。

太陽が4ヶ月も上らないような“地球最後の日”に誰がすき好んでむさっ苦しいオッサン共と過ごしたいと思うだろうか。1年半も・・・。

そんな網走も遠く足下に及ばない隔絶された酷寒の監獄wという非日常的空間が、次第に人間を圧迫していく様子がユーモラスに描かれていて終始笑いっぱなし

さらにその中で3食の美味しい食事が並ぶ食卓がストレス充満空間を解消していくとともに、非日常的日常を生き生きとあぶり出していく視点も新鮮で面白い。

しかし、この監督って劇場デビュー作らしいけど、控え目な日本人の突発的に暴走する姿、そして微妙な空気感と絶妙な間のアンサンブルはドツボにはまりまくりで、この人の笑いのセンスってズバ抜けてる。

次回作が楽しみッス。

あ、あと触れないわけにはいかないのがジブリアニメのお株を奪うボリューム満点料理の数々。

伊勢エビフライにカニ三昧に肉厚ビーフにフランス料理に中華に、、どんだけグルメやねんww

しかもそのボリューム度がハンパなくてめっちゃ美味そうなのね。実写でこれを撮れたってのはスゴイよ(笑)。

ローストビーフ松明を持っての鬼ごっことかホント笑えて、抱腹絶倒のシュールコメディに舌鼓を打たさせていただきますた

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南極日誌(2005年・韓国・115分)DVD

 監督:イム・ピルソン

 出演:ソン・ガンホ、ユ・ジテ、カン・へジョン、パク・ヒスン

 内容:チェ・ドヒョン隊長を中心に6人で構成された韓国の南極探検隊。彼らは、最低気温マイナス80度、ブリザード吹き荒れる海抜3700mの“南極到達不能点”を目指して歩みを進めていた。残された時間はあと60日で、それを過ぎると南極は半年間闇に閉ざされてしまう。しかし、21日目、80年前に遭難したイギリス隊によって書かれた日誌を発見したことから、彼らに不可解な出来事が立て続けに起こり始める・・・。

評価★★/40点

オゾンホールから直に紫外線受けて頭おかしくなったんちゃうか?

そうとでも考えないと、この中途半端な狂い方は説明がつかんぞw

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南極物語(2006年・アメリカ・120分)2006/03/27・MOVIX仙台

 監督:フランク・マーシャル

 出演:ポール・ウォーカー、ブルース・グリーンウッド、ジェイソン・ビッグス

 内容:高倉健主演の「南極物語」のハリウッドリメイク。

評価★★★★/75点

“ハリウッドの鉄則その1.基本的にアメリカ映画は度を越した人間のサバイバルは嬉々として描けるが、いざ動物、特に犬となると俄然お優しくなる。。”

しかも動物映画の王道ディズニーだもん。

その王道を踏み外さない予想通りの出来上がりで個人的にはスッキリ。

日本のオリジナルの方は淡々と犬たちの悲劇をドキュメンタリータッチで追い続け、申しわけ程度に高倉健の飼い主詫び状めぐりが挿入される。なんか高倉健だけにすごくお硬く不器用な印象というのが強くて。。

それが今回のリメイク版は容易に感情移入できてしまうんだよね。ま、ディズニーお決まりのパターンなんだけども。

しかし、オリジナル版がマイナス30度の冷たさと寒さを厳格に表現していたのに対し、今回のリメイク版はせいぜいマイナス5度くらい・・。

そういう温度差は確実にあったけどディズニー映画の場合はそれでちょうど良いのかもね。。

2023年1月 2日 (月)

夢のシネマパラダイス560番シアター:1917命をかけた伝令

1917 命をかけた伝令

O0707100014801650490出演:ジョージ・マッケイ、ディーン=チャールズ・チャップマン、マーク・ストロング、コリン・ファース、ベネディクト・カンバーバッチ

監督・脚本:サム・メンデス

(2019年・英/米・119分)東宝シネマズ日本橋

内容:1917年、第一次世界大戦の西部戦線。ドイツ軍の後退を好機と捉えたイギリス軍は追撃作戦を開始するが、それはドイツ軍の罠であることが判明する。そこで若きイギリス兵スコフィールドとブレイクに、作戦中止の命令を最前線の部隊まで届けるよう指令が下る。ブレイクの兄を含む兵士1600人の命がかかる中、2人は塹壕を抜け出し、敵の陣地へ歩を進めていく・・・。

評価★★★★/85点

歴史好きの自分にとって欠かせなかったテレビ番組にNHKスペシャル「映像の世紀」がある。その第2集だったか、大量殺りくの完成という副題で第一次世界大戦を扱った回があった。

愛国心というロマンにあふれた若者たちが、「クリスマスまでには帰れる」と無邪気に戦場に向かったものの、その先に待っていたのはクリスマスどころか何年にも渡る果てなき消耗戦の地獄、、そして爆撃で吹き飛ばされた顔の右半分を型取ったマスクを装着した若者がカメラに向ける眼差し、、こんなはずではなかった、と。。

今回の映画では人類が初めて経験した近代戦の惨状を、ジグザグに延々掘られた塹壕、その中で泥まみれになってうずくまる兵士たち、張り巡らされた鉄条網、砲弾でできた無数の穴ぼこの大地に放置される軍馬の死骸、腐乱していく兵士の屍に群がるハエとネズミ、大量に散らばっている高射砲の薬きょう、崩れ落ちた橋、もはや更地寸前の廃墟と化した街、、そういったリアルなプロダクトデザインや美術セットにより大々的かつ直接的な戦闘をほぼ描かずに表現しているのが特筆もの。

中でも印象的だったのが桜の花で、撤退したドイツ軍が道を塞ぐために桜の木々を伐採していったことによる戦争の酷さ悲しさだったり、主人公が川に流されている時に流れてくる桜の花びらは「西部戦線異状なし」のオマージュとも思ったけど、ものすごく心に残った。

話題となったワンカット風撮影については、没入感はハンパない一方、各ステージのイベント・ミッションをこなして進んでいくかんじが、まるでLOTRのフロド&サムの冒険譚のように見えてきてしまうドラマ性の乏しさや、映画好きにとってはどうやってワンカットのように見える映像を繋いでいるのか技術面ばかりに気が向いてしまうといった一長一短はあったものの、今まで見たことのない“戦場”映画だったのは疑いようがない。

ただ、水面上を滑空しているような切れ目ないカメラワークとか本当にどうやって撮っているんだろうという興味は尽きなくて、全編メイキング見てみたいw

P.S.ロシアの侵略によるウクライナ戦争の最中に再見した。破壊のかぎりをつくされたマリウポリと映画に出てくるエクーストの街がだぶって見えて暫し言葉を失う・・・。

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戦場のアリア

Iimg900x12001551535926ztmm0n1093390 出演:ダイアン・クルーガー、ベンノ・フユルマン、ギョーム・カネ、ゲイリー・ルイス、ダニー・ブーン

監督・脚本:クリスチャン・カリオン

(2005年・仏/英/独/ベルギー/ルーマニア・117分)盛岡フォーラム

評価★★★★/80点

 

内容:1914年、第一次世界大戦下のフランス北部デルソー。ドイツ軍とフランス・スコットランド連合軍の戦いは熾烈を極め、戦況はますます悪化の一途をたどっていく。そんな両軍とも譲らぬまま迎えた雪のクリスマス、花形テノール歌手だったドイツ軍のニコラウスは素晴らしいテノールを塹壕から響かせる。すると、スコットランド軍はバグパイプの伴奏を奏で始め、一夜限りの休戦が実現、いつしか3カ国の兵士たちによる「聖しこの夜」の合唱がこだまする、、、というウソのようなホントの話。。

“やや一本調子な旋律で、思ってたより盛り上がりに欠けるが、戦争の愚かさがこれほど素直に伝わってくる映画も珍しい。戦場における人間讃歌に心打たれる。”

凍てつく大地に野ざらしになった死体がゴロゴロしている中で、敵味方が共にシャンパンを酌み交わし、語り合い、共に歌い、共にサッカーをし、トランプまでして、そして共に祈る、、そんな世にも奇妙な風景のどこまでが真実なのか知るよしもないが、戦争のバカバカしさ、愚かさが実に端的に伝わってくる光景ではある。

以前、NHKスペシャルで太平洋戦争の激戦である硫黄島玉砕戦を特集していて、生き残った元兵士の凄絶な証言の中で、あの生き地獄という名の戦場を一言で言い表すならばそれは“畜生の世界”だと言っていたのが印象に残っている。

人間性を破壊し消失させてしまう、人ではないものが巣食う世界、それが戦場なのだとしたら、その中でかろうじて人間たらんとすることはそれこそ神のおぼし召しにすがるより他にないのかもしれない。

クリスマス聖夜、賛美歌の合唱とバグ・パイプの音色によって引き起こされた奇跡。

戦場の最前線で人間性を取り戻したかけがえのない喜びが暖かく描かれる一方で、その取り戻した人間性が自国の正義という名の下に徹底的に排除されていく絶望と悲しみも冷徹に描かれ、なんともやるせなくなってくる。

また、戦場で敵味方も国境も人種も越えたクリスマスミサの祈りによって心を通わせることに貢献した神父がいる一方で、聖戦と称して若者を戦場に駆り出していくのも同じ宗教者の司教であることに空しさを感じずにはいられない。

「ドイツ兵を殺せ!皆殺しにしろ!と命令するお偉方よりもドイツ兵の方がよっぽど人間的だった。」というセリフが心に残る。

現代、相も変わらず宗教は権力と戦争の道具として使い回されているが、音楽はいまや数百万曲が世界中のネットを飛び交う時代だ。

奇跡を起こすのは神でも宗教でもない。

音楽なのかもしれない。

そういえば「ビルマの竪琴」でも日本軍と英軍が水島上等兵の奏でる竪琴に合わせて合唱するシーンがあったっけ。

歌ってやっぱりスゴイ

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バルトの楽園(2006年・東映・134分)WOWOW

 監督:出目昌伸

 出演:松平健、ブルーノ・ガンツ、高島礼子、阿部寛、國村隼、大後寿々花、平田満、市原悦子

 内容:第一次世界大戦中の1914年、日本軍はドイツの極東根拠地である中国の青島を攻略し、ドイツ兵4700人を捕虜として日本全国に12ヶ所ある俘虜収容所へ送還する。1917年、収容所を6ヶ所に統合するため、劣悪な久留米収容所で2年を過ごした捕虜たちは徳島の板東収容所に移送された。同収容所の松江豊寿所長は、彼らに対して寛容な待遇で接するのだが・・・。日本で初めてベートーベンの「交響曲第九番:歓喜の歌」が演奏されたという実話をもとに描いたドラマ。

評価★★★/60点

“安倍晋三がこれ見たらもろ手を挙げて喜びそう・・・。”

なんていうのかなぁ、言葉は悪いけど、まるで北朝鮮の将軍様の国策映画を見せられているかのような気持ちの悪さを感じてしまった。

いや、ものすごく真摯で感動的なストーリーなんだけど、そこにこれでもかというくらいに輪をかけて乗っかってくる何のひねくれもない平々凡々な演出に、逆にうすら寒さを感じてしまったというか。。

自分の映画の見方がひねくれちゃってるだけかもしれないけど、この映画ははっきりいってヌルすぎる。

なぜ収容所が牧歌的な理想郷のように描かれなければならないのか、あまりにも出来すぎていやしないだろうか。

まだ日本がイカれる前の貧しくも古き良き時代にあった奇蹟といえば聞こえはいいけど、ちょっと誇張しすぎの感も・・・。

唯一、大後寿々花の演技力と存在感には今回も脱帽したけども。

2023年1月 1日 (日)

うたばん狂想曲第39番:第31回オイラ的日本レコード大賞in2022

1年通して本格活用したSpotify元年の月間ランキングいってみよー!!

1月

 1位  YOASOBI          もう少しだけ

 2位  あいみょん            ハート

     バックナンバー          水平線

 3位   平井大        Stand by me,Stand by you

      藤井風             燃えよ

2月

 1位   milet             Fly High

 2位  YOASOBI         あの夢をなぞって

    STUTS、松たか子       Presense

 3位   桑田佳祐          Soulコブラツイスト

     Official髭男dism        Anarchy

3月

 1位   ALI            LOST IN PARADISE

 2位   手嶌葵            瑠璃色の地球

     King Gnu            一途

 3位  King Gnu            逆夢

     サカナクション          ショック!

4月

 1位  King Gnu          カメレオン

 2位   milet           One Reason

      藤井風              まつり

 3位  KAT-TUN       CRYSTAL MOMENT

      BiSH            FiNAL SHiTS

5月

 1位  Vaundy           恋風邪にのせて

 2位  小田和正          so far so good

      三浦大知             燦燦

 3位 Mr.Children           永遠

    池田智子&TENDRE   水星×今夜はブギーバック

6月

 1位   Uru           それを愛と呼ぶなら

 2位   秦基博           Trick me

     大原櫻子           それだけでいい

 3位  大原櫻子           笑顔の種

     宇多田ヒカル         BADモード

7月

 1位 桑田佳祐feat佐野元春、世良公則、Char、野口五郎

               時代遅れのRock’n Roll Band

 2位  幾田りら            レンズ

     菅田将暉            惑う糸

 3位  安田レイ      each day each night

     あいみょん           双葉

8月

 1位   Ado              逆光

 2位   Ado             新時代

     あいみょん        初恋が泣いている

 3位  ケツメイシ          一等星

      YUKI           鳴り響く限り

9月

 1位  King Gnu          雨燦々

 2位   秦基博            残影

       Ado            風のゆくえ

 3位 幾田りら×東京スカパラ  Free Free Free

      平井大           栄光の扉

10月

 1位 THE BEAT GARDEN  Start Over

 2位   yama             Lost

      milet            Always You

 3位 Mr.Children          生きろ

     森山直太朗            茜

11月

 1位   藤井風             grace

 2位 BUMP OF CHICKEN   SOUVENIR

     Official髭男dism       サブタイトル

 3位  バックナンバー        ベルベットの詩

      藤井風             damn

12月

 1位  バックナンバー        アイラブユー

 2位   milet            Final Call

            Mirage Collective           Mirage Op.2(feat長澤まさみ)

 3位   King Gnu         Stardom

      幾田りら            JUMP

 

✨ベストニューカマー賞✨

 Ado

 幾田りら

 Vaundy

✨優秀パフォーマンス賞✨

 藤井風

 milet

 バックナンバー

✨特別賞✨

 桑田佳祐feat佐野元春、世良公則、Char、野口五郎

✨大賞✨

 King Gnu

2022年12月22日 (木)

夢のシネマパラダイス589番シアター:ラ・ラ・ランド

ラ・ラ・ランド

170115_02出演:ライアン・ゴズリング、エマ・ストーン、ジョン・レジェンド、ローズマリー・デウィット、J・K・シモンズ

監督・脚本:デイミアン・チャゼル

(2016年・アメリカ・128分)東宝シネマズ日本橋

内容:ロサンゼルス。女優を目指すミアは、映画スタジオのカフェで働きながらオーディションを受けるも、なかなか役にありつけない。そんなある日、彼女は場末のバーでピアノを弾いているセバスチャンと出会う。彼も自分の店を持ってジャズを演奏するという夢を持っていた。そして2人はいつしか恋に落ち、互いに夢に向かって奮闘していくのだが・・・。

評価★★★★★/90点

取っつきにくいジャズよりもケニーGやそれこそザ・メッセンジャーズの音の方を大いに好む自分にとって、あんなのニセモノだし不本意だというセブのディスりは耳が痛くなった。。

いや、待て。じゃあアンタはホンモノを聴かせてくれるのか!?80年代ポップスまで揶揄しやがってー!

で、肝心のセブが言うところの本物のジャズが流れるのは、意外にもセブがミアを連れて訪れるジャズバーで演奏されている“ハーマンズ・ハビット”くらいなもので、ジャズピアニストとしてのセブの本気というか本領発揮はついぞ見ることができなかったというオチ(笑)

本物のジャズというのはセブがミアに力説したところから推測するに、個人技のぶつかり合いによる即興性のあるジャムセッション的なものだと思ったんだけど、ライアン・ゴズリングにそこまでの演技パフォを課すのは酷だったのか、そういうシーンがこれっぽちも出てこないんだよね。逆に嫌々やってるバンドシーンの方が記憶に残るというw

さらに、ミュージカルシーン含めた音楽もジャズを基調としながらもかなりマイルドテイストにアレンジされていて、もはやイージーリスニングの域。

でも、その裾野の広さがミーハー初心者な自分の琴線にものの見事に響いて虜になってしまうという逆説は、もうこれは監督の確信犯なのだろう。

「セッション」(2014)の時は思わなかったけど、今回は「ラ・ラ・ランド」を入口にジャズをもっと聴いてみたいと思わせられたし。なにせサントラまで買っちゃったんだから。。

あと感じたのは、ミュージカルシーンが意外に少ないなという印象。

大渋滞のLAの高速道路上で繰り広げられるオープニングのモブシーンミュージカルでガツンとインパクトを与えた後は、オーケストラから徐々にシンプルなピアノ演奏に変わっていく。そして最後はミアの力強いボーカルを主旋律とする“オーディション”(レミゼで5分に満たないパフォーマンスだけでアカデミー助演女優賞をかっさらったアン・ハサウェイのようにエマ・ストーンの受賞を決めた1曲)で締めるという、よりパーソナルなものに落とし込んでいく意図が感じられる。

なんだけど、モブシーンしかり幻想的なマジックアワーのハリウッドヒルズでミアとセブが文字通り心を弾ませる“ア・ラヴリー・ナイト”のアステア&ロジャースを彷彿とさせるダンスシーンしかり、それぞれ1曲かぎりで打ち止めなんだよね。

欲張りな自分はもう数シーン加えてもよかったのではという気持ちになったけど、捨て曲一切なしのクオリティと、四季ごとに章立ててミアとセブのドラマとシンクロさせる構成が間延び感をなくしたことで、終わってみれば腹八分目の非常にバランスの取れた作品になっていたと思う。

考えてみればミュージカル映画って、ミュージカルシーンが多いと満腹すぎて胸焼け起こすんだよねwそれ思うと少々物足りないくらいがちょうどいいのかも。

ラストに関しても、ミアのバイト先のカフェの前が「カサブランカ」に使われた建物という印象的なセリフがあったり、ミアの部屋にイングリッド・バーグマンのポスターが貼られていたり、あからさまなカサブランカ推しがあったので、ラスト見て完全にこれはカサブランカのオマージュなんだなと思って納得。

とにもかくにも映画見てこんな幸せな気分に浸れたのは久しぶりだ。

ヤバイ、、ほんとにジャズバー行ってみたくなってきた・・w

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グレイテスト・ショーマン

Jp20cs_greatestshowman_poster_b4fdfa25出演:ヒュー・ジャックマン、ザック・エフロン、ミシェル・ウィリアムズ、レベッカ・ファーガソン、ゼンデイヤ、キアラ・セトル

監督:マイケル・グレイシー

(2017年・アメリカ・104分)WOWOW

内容:19世紀半ばのアメリカ。ショービズの世界で成功を夢見るP・T・バーナムは、幼なじみの妻チャリティと娘たちを幸せにするために挑戦を続け、いわゆるフリークショーと呼ばれる前代未聞のショーを作り上げて成功を収める。しかしその型破りな内容から反対派も根強く、バーナムは彼らにも認めさせるショーを作ろうと上流階級に名の知れた劇作家フィリップや、イギリスで出会ったソプラノ歌手ジェニーを迎え入れて奮闘していくが・・・。

評価★★★☆/70点

2時間超えが定番のこの手のミュージカル映画で本編が100分弱というのはかなり珍しく、テンポ良くサクサク見られたのはたしか。それでいて満腹感も十分。

実際、描かれている要素は、家族愛、夫婦の絆、許されぬ恋、成功と挫折、仲間の友情、マイノリティと多様性、偏見と差別、芸術とエンタメは相容れないのかetc..めちゃくちゃテンコ盛り(笑)。

で、短い尺の中でこれらを見せきる力技、もっと正確にいえば見たと思わせるトリックがこの映画の醍醐味なのだと思う。

それは端的にいえばミュージカルシーンにあって、通常はキャラクターの個性や内面の強力な発露として表現されるのに対し、今作ではそれプラス時空を操り物語を進める強力なツールとしての役割も担っているのがミソ。

例えば、冒頭の“ア・ミリオン・ドリームズ”では、バーナムとチャリティの子供時代の出会いから大人になって結婚し子供も産まれ幸せな家庭を築くまでを一気に見せる。

また、オペラ歌手ジェニー・リンドがNY公演で歌う“ネヴァー・イナフ”では、バーナム、チャリティ、ジェニーの危うい三角関係を匂わせたり、フィリップとアンの恋の始まりと葛藤をいずれも会場での視線の交錯と細かなカットバックで描いていく。

しかも、両曲とも歌詞とキャラクターの心情およびカットが生み出すストーリーが完全にシンクロしているのに加えて、楽曲がポップでエモーショナルなので没入感がハンパない。

ハイテンポでありながら快感指数高めで見た気にさせる要因には、そういうかなり綿密に作り込まれたカラクリがある。

他にも妻チャリティの複雑な心情を歌い上げる“タイトロープ”も印象的だったし、トランプ以降急速に世界中に広まっている不寛容な社会への糾弾にまでイメージを飛ばさせられる“ディス・イズ・ミー”にも圧倒される。

今作のミュージカルは捨て曲が一切ない、まさに名盤といっていい出来🎵

ただ一方では、2時間半の長尺でテーマをじっくり掘り下げた方がより良かったのではないかという思いも芽生えてきたり・・w

あるいは、穴のあいた靴下を履く浮浪児がチャリティを迎えに行く夢を抱きながら鉄道事業によって財を成していくアメリカンドリームの方も見たかったり。

まぁ、芸術ではなく祝祭=エンターテインメントなんだ!最も崇高な芸術とは人を幸せにすることだ!と豪語するバーナムの言を借りれば、今作はまさにその通りの映画だったと言えるのはたしかだろう。

とはいっても、ラ・ラ・ランドの方が好きだけどww

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レ・ミゼラブル

Poster出演:ヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロウ、アン・ハサウェイ、アマンダ・セイフライド、エディ・レッドメイン、ヘレナ・ボナム=カーター、サシャ・バロン・コーエン

監督:トム・フーパー

(2012年・イギリス・158分)DVD

内容:19世紀フランス。妹の子供のためにひと切れのパンを盗んだ罪で19年獄中生活を送ったジャン・バルジャン。出獄した彼は施しを与えてくれた村の司教から銀の燭台を盗んでしまうが、司教がかばってくれたことで良心を取り戻し、真人間になることを誓う。そしてマドレーヌと名前を変えながらも市長にまで上りつめる。しかし、法に忠誠を誓うジャベール警部の執拗な追跡に逃亡を余儀なくされ、パリで身を隠しながら養女コゼットと暮らし始める。その一方、パリでは学生運動の嵐が吹き荒れていた・・・。

評価★★★/60点

今までめぼしいミュージカル映画は見てきたつもりだけど、全てのセリフをミュージカルで通すオペラ調の映画は初めて見た気がする。

で、これが自分にはちょっと合わなかったなと。

登場人物の感情の高ぶりや物語の重要な場面展開などポイント×2で歌いだすことに見慣れていた自分にとっては、ドラマと歌が常に一体となった今回のつくりは抑揚がなくてイマイチ乗り切れなかったし、妙に疲れた

まるで役者たちの生歌のど自慢大会を見に行った趣だったけど、物語の方もすごい駆け足で、なんか底が浅いというか。。非ミュージカルだった98年公開のレミゼの方がじっくり見れる余裕があったと思う。

で、レミゼは何度も映画化されているほど誰もが知っている古典中の古典なのだから、物語構成の焦点を大胆に絞ってもよかった気がする。

具体的にはコゼット、マリウス、エポニーヌを主体とする市民革命の盛り上がりを軸にして、ジャン・バルジャンの過去やジャベールとの確執を回想シーンなどを使って複合的に組み合わせていく方が、全編歌づくしには合っていたと思う。

でも、唯一この映画を見た価値があったのが、ファンテーヌ役のアン・ハサウェイだ。登場シーンは15分にも満たないものだったけど、幼い娘を育てるため髪を切って売り、歯を抜いて売り、娼婦にまで身をやつす結核に冒された極貧のシングルマザーを鬼気迫る演技で体現。絶望に打ちひしがれながら歌う“夢やぶれて”には思わず涙

この1曲だけでアカデミー賞獲ったようなものだけど、大納得した。

あと、ラストのジャン・バルジャンの死の間際に彼を神のみもとに誘う聖女として出てきた時の穢れのない神々しさにも息を飲んだ。

この映画は、アン・ハサウェイの一点押し!というのが自分の偽らざる感想だ。

2022年9月25日 (日)

夢のシネマパラダイス567番シアター:絶叫!ZQNパニック!

新感染 ファイナル・エクスプレス

Mv62183_46013beadba1b5952f00caf7ec29e422出演:コン・ユ、チョン・ユミ、マ・ドンソク、キム・スアン、チェ・ウシク

監督:ヨン・サンホ

(2016年・韓国・118分)東宝シネマズ新宿

内容:韓国の各地で謎のパンデミックが発生し、感染者は次々と狂暴化し始めていた。そんな中、ファンドマネージャーのソグは、娘のスアンを別居中の妻に会わせるため、ソウル発プサン行きの高速鉄道に乗り込む。が、乗客の中に感染者がいたことから密室と化した列車内はたちまちパニックに陥ってしまう。終着駅まで2時間、ソグは愛する娘を守るべく他の乗客たちとともに必死の戦いに挑んでいくが・・・。

評価★★★★/85点

走る密室に動かない時限爆弾ではなく追っかけてくるゾンビの群れという、予測不可能さが常につきまとうシチュエーションが、崖っぷちな絶望感を倍増させているのに加えて、韓国映画特有の情け容赦のなさも相まって最後までハラハラドキドキ。

ゾンビが暗闇では動きが止まるかわりに音には超敏感という独自設定(ウィル・スミスのアイアムレジェンドでは逆に日光に弱く夜に活発になる設定だった)も上手く生かしていたし、ありがちな走り出したら止まらないノンストップパニックではなく各駅停車の鈍行パニックなので、電車内だけでなく駅構内にもロケーションを広げているのも良い。

それにより中だるみが回避されているし、その際にもセーフティゾーンとデスゾーンの境界線を意識した絵面で緊迫感を生み出し飽きさせない。

そして、籠城戦から開放された車両基地での全速ダッシュゾンビ軍団からの逃走劇のカタルシスは圧巻!

また、海外ドラマ「ウォーキングデッド」でもお馴染みの“ゾンビよりも人間の方が恐ろしい”という裏テーマもしっかり押さえていて、その中で超自己チュー人間の主人公が利他的な真人間に成長していく姿もベタなりに心打たれるものがあって見応えがあった。

なかなか頑張ってる以上の余韻が皆無だった「アイアムアヒーロー」と比べると格段の違い、、日本映画がんばろw

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アイアムアヒーロー

Poster2出演:大泉洋、有村架純、長澤まさみ、吉沢悠、岡田義徳、片瀬那奈、マキタスポーツ、塚地武雅、風間トオル、徳井優

監督:佐藤信介

(2015年・東宝・127分)盛岡フォーラム

内容:漫画家アシスタントをする35歳の鈴木英雄は、同棲している彼女にもあきれ果てられるほど肩身の狭い日々を送っている。そんなある日、徹夜仕事から帰宅した英雄は、なにやら様子がおかしい彼女に突然襲われる。なんとか逃げ出した英雄だったが、街中で目の当たりにしたのは新型ウイルスに感染し、異形の姿に変貌を遂げた者たち(ZQN・ゾキュン)が次々と人々を襲う光景だった・・・。

評価★★★☆/70点

正直期待はあまりしていなかった。

グロくて生々しく生理的不快指数の高いキワドい描写が多い原作マンガにあって、大泉洋&長澤まさみのNHK大河ドラマ組と清純派筆頭の有村架純というキャスティングは突き抜けた冒険はしづらいだろうなと思ったし、そう考えると「ワールド・ウォーZ」のような血しぶきの少ない俯瞰的なパンデミック路線に舵を切るのだろうと予想していた。

ところがフタを開けてみたら、あらビックリ。

ZQNのリアルで気持ち悪い造形は完璧だったし、売れない漫画家・鈴木英雄(大泉洋)のさえない日常風景が恋人てっこ(片瀬那奈)のZQN変貌により崩壊していく序盤は、原作ファンとしては100点満点の出来。さらにそれに続く職場事務所でのドランクドラゴン塚地が金属バットで頭をベッコンバッコンするモラルや葛藤無視の暴走っぷりは、ゾンビより人間の方がはるかに恐ろしいことをショッキングな映像でつづる海外ドラマ「ウォーキング・デッド」を凌駕するものだったと思う。

終盤アウトレットモールでの大スプラッタ祭りも邦画でここまでやるかっていうくらい過激だったし、全体的なインパクトは絶大で、えっ?ここでもう終わっちゃうの!?と思ってしまうくらいあっという間の2時間だった。

あとは何といっても大泉洋のハマり具合が笑っちゃうくらいハンパなかったことだね。初めて発砲する時の「はーい」という掛け声はあまりにもマンガのイメージ通りで背中に電流が走ったくらいww

あと、序盤にチョイ役で出てくる中田コロリ役のラーメンズ片桐もまんまで(笑)、というか原作者の花沢健吾が芸能人を当て書きしてるふしがあるのであれだけど、見終わってみればキャスティングも満点。

こうなると否が応にも続編に期待しちゃいたいところだけど、ズッコケ臭がプンプンするのでやらない方がいっかな

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ワールド・ウォーZ

O0480071112654808260 出演:ブラッド・ピット、ミレイユ・イーノス、ジェームズ・バッジ・デール、ダニエラ・ケルテス、デヴィッド・モース

監督:マーク・フォースター

(2013年・アメリカ・116分)DVD

内容:フィラデルフィアで妻と2人の娘と平穏な日々を送っていたジェリー・レイン。ある日、家族を乗せた車で渋滞中にビル群の爆発や相次ぐ玉突き事故などの異様な光景を目の当たりにする。さらに人の群れが手当たり次第に人に咬みつき、被害者は突如として凶暴化するのだった。なんとか現場を逃れた彼のもとにかつて勤務していた国連から、謎のウイルスが全世界的に感染拡大しているという連絡を受け、調査隊への参加を要請される・・・。

評価★★★★/75点

“Around The World In Seven Days”

アメリカの大都会フィラデルフィアとNY、韓国の米軍基地、聖地エルサレム、ウェールズのWHO研究所の全4ステージを“Z”と戦いながら、カーアクション、チャリンコレース、飛行機パニック、密室劇といった多彩なサバイバルシチュエーションとミッションをこなしてクリアしていくアクションRPG!という言葉がピタリとくる映画w

出会い頭に車が衝突しようが、飛行機の中で手榴弾を爆発させて客席が吹き飛ぼうが、その飛行機が墜落しようが、鋭利な破片が脇腹に突き刺さって貫通しようが、3日も寝れば全快になってしまうブラピの不死身ぶりはまさにゲームの主人公そのもの。

しかし、それをご都合主義と揶揄することは容易いものの、追うゾンビと逃げる人間というゾンビ映画の基本シークエンスであるミニマムな主観視点に、空撮とモブシーンというパニック映画のマクロな俯瞰視点を距離的空間的スケールで加えることにより阿鼻叫喚のパンデミック映画にブラッシュアップした演出はバカにはできない。

端的にいえばゾンビを天変地異と同類としたディザスタームービーにしたという点が新しいというか。要するにイナゴの大群だよね(笑)。

で、グロさを控え目にしている点も含めてテンポよく見れてしまう面白さはある。

ただ、ディザスタームービーにしちゃうと絶望が心地良いという欠点が出てきて、そこがクリアされていないため、どうしてもゲーム的になっちゃうんだよね。

それはつまりZを殲滅することに対する罪悪感、もっといえば肉親に手を下さなければならない絶望という極限状況まで追い込まれた人間模様を描かなければダメだったと思う。

まぁ、ブラピが出るビッグバジェットのイメージ的にそれは難しかったのかもしれないし、そんな悪夢のような心地の悪い映画を見たいかというと見たくはないんだけどね

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コンテイジョン

621 出演:マリオン・コティヤール、マット・デイモン、ローレンス・フィッシュバーン、ジュード・ロウ、グィネス・パルトロー、ケイト・ウィンスレット

監督:スティーヴン・ソダーバーグ

(2011年・アメリカ・106分)WOWOW

内容:ある日、香港からアメリカに帰国した女性がその2日後に高熱で死亡。同じような事例が世界各地で相次ぎ、それが短期間で死に至るような新種のウイルスによることが判明する。驚異的な速さで感染拡大し、死亡者も増大していく中、世界保健機関WHOやアメリカ疾病予防管理センターCDCなどはウイルスの特定とワクチン開発に乗り出すとともに、感染者の隔離と感染ルートの解明に奔走するが・・・。

評価★★★☆/70点

香港で発生した新種の殺人ウイルスが驚異的なスピードで全世界に広がっていくパニック群像劇だけど、不思議と緊迫感も迫り来る恐怖も感じられない。

それは締まりがないということではなく、驚異的なまでにそつなくまとめられていて、退屈はしないし、ifストーリー&シミュレートとしては面白く見られるのだけども、どこまでも淡々と状況説明だけに終始していてテンションが上がってこないのだ。

39度の熱にうなされている人々を35度の低熱で見つめ続ける他人事な感覚は好みではない。

まぁ、ソダーバーグ映画特有の熱量のなさについてはすでに免疫ができているので物足りなさを面白さが上回ったかんじではあるけど、映画を見たという感触には乏しい。

やはりこう考えてくると、映画にはヒーローがいた方がいいんだなと思ってしまうわけだけど・・

しかし、今回はワールドワイドなマクロ視点(システム管理する側)をベースにしていたので、どうしても個人・家族レベルのミクロ視点(管理される側)とは一定の距離を置かざるをえなかったのかもしれない。

そういう点ではソダーバーグの演出は舌を巻くばかりにこなれていて巧いとしか言いようがなく、どこぞの国の「感染列島」なんかよりは断然見応えがあることだけはたしかだw

★追記(2022年9月)

コロナ禍で2年以上マスク生活を強いられている中で再見。

大好きなグウィネス・パルトロウが序盤も序盤で泡吹いて絶命し検死で開頭されてしまう残酷さを目の当たりにして、コロナがもたらした混沌と恐怖、そしてヒーロー不在のやるせない現実を重ね合わせるとともに、感染経路の追求や濃厚接触者の行動履歴の特定など映画のリアリティに瞠目せざるを得ない。

いや、今回の映画ではコロナをはるかに上回る感染速度と致死性の高いウイルスのためロックダウン以上のカオスが一応は描かれているけど、そちら側のパニックエンタメに走らず、コロナで声高に叫ばれた「非接触」というキーワードを執拗に落とし込むなど、ここまで来るともはや笑うに笑えないレベル。。

1989年にバックトゥザフューチャーが描いた2015年の未来予測が話題になったことがあったが、ここまで的確に当たってしまった映画はそうそう無いかも・・。

ターミネーターの未来世界が来ないことを願うばかりですww

2022年1月 9日 (日)

夢のシネマパラダイス614番シアター:犯人は何処にー罪の声の真実ー

罪の声

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出演:小栗旬、星野源、松重豊、古舘寛治、市川実日子、火野正平、宇崎竜童、梶芽衣子、宇野祥平、篠原ゆき子

監督:土井裕泰

(2020年・東宝・142分)WOWOW

内容:1984年(昭和59年)に起きた食品会社を標的とした脅迫事件は、日本中を恐怖に陥れた劇場型犯罪として昭和最大の未解決事件となった。あれから35年後、新聞記者の阿久津はすでに時効となっている事件の真相を追う企画班に入れられ取材を始める。一方、京都でテーラーを営む曽根は、父親の遺品の中から見つけた古いカセットテープに小さい頃の自分の声が録音されていることに気づく。しかし、その声はあの事件で使われた脅迫テープと同じものだった・・・。

評価★★★★/80点

グリコ森永事件は自分が6歳の時だったのでほとんど記憶になく、2011年に放送された「NHKスペシャル未解決事件」でその詳細を初めて知った程度だった。

その点で当時5歳だった主人公・曽根俊也(星野源)の記憶をたどる旅は、どこか自分自身とも重ね合わせることができて感情移入しやすくて見入ってしまった。

また、プロットの構成も証言者のもとを訪ねてひたすら聞き込みを繰り返していくオーソドックスなものなんだけど、曽根と阿久津(小栗旬)2つのアプローチが交錯し真相に繋がっていくのは面白かったし、その真相が犯人捜しだけではなく、事件を通して十字架を背負わされた当事者たちの埋もれた人生にフォーカスしていくのも見ごたえがあった。

「目の前の不幸から目をそらさずに素数になるまで割り切って割り切って真実を明らかにする」というセリフが印象的だったけど、まさにその言葉通り丁寧に描写が積み重ねられていて、決して想像力に物を言わせたような突飛な小手先に陥らない説得力があったように思う。

考えてみれば先述したNHKスペシャルもドラマ仕立てで、めちゃくちゃ面白かったんだ。ノンフィクションドラマであれだけ面白いんだから、そりゃフィクションまぶしたら面白くならないはずがないよねw

ただ、あまりドバッと大量だと途端につまらなくなるし、その点この映画でのふりかける量は絶妙なんだよね。あくまで堅実に。良作。

P.S.

全共闘に対するどこか突き放したような冷めた視点とか分かるわーwと思ってたら、後日、原作者が自分と同学年であることを知って、この作品が自分にハマッた理由が腑に落ちた気がした。

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検察側の罪人

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出演:木村拓哉、二宮和也、吉高由里子、平岳大、大倉孝二、八嶋智人、酒向芳、キムラ緑子、松重豊、山崎努

監督・脚本:原田眞人

(2018年・東宝・123分)WOWOW

内容:若手検事の沖野は、心酔するエリート検事最上がいる東京地検刑事部に配属となり、さっそく老夫婦強盗殺人事件を担当することになる。が、事件の重要参考人の中にかつて時効になった女子高生殺害事件の重要参考人・松倉の名前を見つけた最上は、目の色を変えて松倉を追及していく。そのやり方に沖野は次第に疑問を抱き始めるが・・・。

評価★★★☆/70点

行動派で正義感の強い型破りな検事役で大ヒットを飛ばしたテレビドラマHEROとは真逆の絵に描いたようなエリート検事・最上を演じたキムタクの汚れ役は新鮮だったし、新米検事の二宮や異様な存在感を発する犯人役など役者陣は軒並み見応えがある。

が、いかんせんシナリオ演出ともに不親切で共感の足がかりを得られないのがイマイチ。

特に最上の親友で国会議員・丹野の収賄スキャンダルやインパール作戦との絡みが雑でうまく伝わってこない。

インパールについては、丹野が反旗を翻す戦前回帰思想の先につながるものの象徴として描かれている面があり、最上もついぞ自らの手で裁くことなく今に至る過去の愚行から生還した祖父を持つ。

そんな中で最上は法で裁くことができない悪に鉄槌を下すため一線を越えるわけだけど、法より自分の正義を優先した行為を正当化するために丹野の遺志(歴史修正主義の断罪)をまるで免罪符であるかのように持ち出してくる。

けれども、所詮100パー私怨による復讐にすぎない最上のやってることは、結局インパールを指揮した大本営のなりふり構わない暴走と何ら変わらないわけで。

しかし、映画はそこの矛盾点を半ば意図的に放っぽり出してるのでタチが悪いんだよねw

また演出においても、築地本願寺での葬儀シーンや、二宮と吉高がベッドインした後の上下逆さまで寝るシンメトリーなど妙に異様さが際立っている。

ようするに漫才コンビ千鳥のフレーズを借りていえば、原田眞人のクセがすごいんじゃ~(笑)!

とは言いつつ、観客置いてけぼり感も含めて見た後の疲労度は高いけど、こういう生半可にはいかない映画も時には良い。ってことにしておくw

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三度目の殺人

172308_02出演:福山雅治、役所広司、広瀬すず、満島真之介、市川実日子、橋爪功、斉藤由貴、吉田鋼太郎

監督・脚本:是枝裕和

(2017年・東宝・125分)WOWOW

内容:何よりも裁判の勝ちを優先するエリート弁護士の重盛は、供述が二転三転して手に負えないと同僚がサジを投げた殺人事件の弁護を引き受けることに。被告人の三隅は、解雇された工場の社長を殺害したかどで逮捕され、30年前にも殺人で服役しているうえ、今回も強盗殺人を認めており死刑は確実とみられていた。重盛は無期懲役に持ち込もうと戦略を立てるが、肝心の三隅は証言をコロコロ変え、重盛にも本心を見せないのだった・・・。

評価★★★☆/70点

いわゆる法廷サスペンスものの最終的なベクトルがたったひとつの真実の追求にあるとするならば、今回の映画はその定石をスルーしているので見る側としては戸惑ってしまうというのが正直なところ。

それどころか真実は十人十色であり、水面下の談合忖度調整により不条理や不都合=本当のことを取っ払ったストンと胸に落ちるそれらしいストーリーが形作られる。そして公の法廷の場にこれが真実ですよと差し出され、下される判決・・。

そんな人が人を裁く司法のあり方とそのシステムの内幕を描いているんだなと2回見てようやく気付いたけど、結局こちら側にはストンと胸に落ちてこないっていうオチ(笑)。

まぁ、原作によらないオリジナル映画だからこその強度が十二分にあるのは確かだし、いろいろ考えさせられるので見応えはあったけども。。

でもって頭の回転が鈍い自分の胸に1番響いたのは、万引きしないと父親に会えない娘の哀しさだった。でもこれも良い風にとった自分の信じたい解釈のひとつでしかないのかも・・w

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22年目の告白ー私が殺人犯ですー

Bc4c04a9出演:藤原竜也、伊藤英明、夏帆、野村周平、石橋杏奈、竜星涼、早乙女太一、平田満、岩松了、岩城滉一、仲村トオル

監督:入江悠

(2017年・日本・117分)WOWOW

内容:1995年、東京で連続殺人事件が発生。牧村刑事らの必死の捜査にもかかわらず2010年に時効を迎えてしまう。しかし、それから7年後。曽根崎という男が自ら犯人だと名乗り出て、告白本の出版会見を大々的に行う。マスコミ報道は過熱しネットも熱狂、本はベストセラーとなり、賛否渦巻く中で一躍時の人となっていくが・・・。 

評価★★★/65点

22年前って曾根崎(藤原竜也)はどう見ても未成年だったのでは?という違和感は最初からあったけど、あそこまでの展開は予想がつかず、サスペンスでこういうジェットコースタームービーは珍しいので楽しめたのはたしか。

とはいえ、どんでん返しの連チャンはその場しのぎの面白さで、強引なご都合主義を飲み込むほどの描写力には乏しかったかなと。

ようするに琴線にあまり響いてこないんだよね。

被害者遺族含めて登場人物の横のつながりが薄かったのが世界観の狭さにつながっていて、ヘヴィーな内容のわりにあくまでこれは画面の中で起きている出来事というライト感覚になっちゃってるのかなぁと。まぁ、破綻はせずによくまとめてるとは思うけどね。

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愚行録

E6849ae8a18ce98cb2e38386e382a3e382b6e383出演:妻夫木聡、満島ひかり、小出恵介、臼田あさ美、市川由衣、松本若菜、中村倫也、眞島秀和、濱田マリ、平田満

監督:石川慶

(2016年・日本・120分)WOWOW

内容:エリートサラリーマンの夫と美人で有名な妻、その一人娘の田向一家が殺害される事件が起きて1年。未解決の中、週刊誌記者の田中武志は、一家の関係者の取材を始める。そして被害者夫の会社の同僚や、妻の大学時代の友人らの証言から一家の意外な素顔が明らかになっていく。そんな中、田中も妹の光子が育児放棄の疑いで逮捕されるという問題を抱えていた・・・。

評価★★★/65点

地方私大出の自分からすると、有名ブランド私大の中の学内ヒエラルキーは全くもって別世界で、「あの世界を知らない人にどう言っても伝わらない」というセリフはまさに的確。

まぁそこが映画を見る上での足かせになっているわけではなかったけど、独特な距離感はあったかも。

ただ、題名通りなそれぞれの愚行っぷりがレベルは違えどどこか他人事ではない人間の姿をさらけ出していて気持ち悪かったし、犯人の犯行動機が単なる復讐ではないところが、もの凄く現代的な薄気味悪さがあって怖かった。

なんだけど、1番の凶行者が狂言回しのカイザー・ソゼだったことに気付かされてさらなるブルーの底に。。重すぎるよ・・。

役者陣は軒並み好演。特に実は素演技だった!?小出恵介ww

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